看護学部

学部長挨拶

小野 美奈子さん
学部長
小野 美奈子

宮崎県立看護大学看護学部看護学科は、豊かな人間性を育成し、専門知識・技術を修得することを通して、看護の果たすべき役割を追究するとともに、人々の健康と福祉の向上、学問領域の発展に寄与することを教育理念に掲げ、平成9年に開学しました。

本学が開学以来、変わらずにカリキュラムの基盤としているのは、ナイチンゲールの理念です。ナイチンゲールは「看護とは何か」と看護の本質を明らかにし、看護職者を専門職として位置付けた理論家です。看護専門職者を育成する教育の中で、特に大切にしているのは、ナイチンゲールが重要視している「相手の立場に立つ能力」「自己の関わりを相手の位置から自己評価する能力」の育成です。この力を重要な看護技術として位置付け、4年間を通して強化していきます。

一方、専門職者は社会の変化や人々のニーズによって役割期待が変化します。社会の中で、看護専門職者には何が求められているか、役割を果たすためにどのようなことを学修すればいいのか、社会の変化や地域のニーズを見据えながら教育内容を改編してきました。現在、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる地域包括ケアが求められている中、多職種と連携しながら看護の力が発揮できるための知識・技術の強化を図るための教育内容の改正を行ったところです。

県立大学の強みは、県内の多様な実習施設が準備されているため、あらゆる健康レベルの方々への看護が学べること、県民の健康課題の解決を目指した地域貢献活動が盛んであるため、教員とともにこれらの活動へ参加することを通して、生きた教育・研究が可能となることです。

基盤となるナイチンゲールの理念、社会情勢の変化を踏まえたカリキュラムにそって学び、体験を通して看護の概念と実践能力を身につけて成長した2300人を超える卒業生が、県内外で人々の健康と福祉の向上に貢献できる看護専門職者として活躍していることが、私たちの誇りとなっています。

大学には、別科助産専攻、大学院、感染管理認定看護師教育課程と、キャリアアップの教育環境も整っています。目指す看護者像を描きつつ学びをすすめていきたい皆さん、ぜひ一緒に学んでみませんか。

教育理念・目的、教育目標、3ポリシー

教育理念・目的

生命の尊厳を基盤とした豊かな人間性を育成し、かつ深く高度な専門知識・技術を修得させることにより、 看護の果たすべき役割を追究し、社会の幅広い分野において、人々の健康と福祉の向上に貢献できる人材を育成します。 さらに、看護学および関連する学問領域の発展に寄与することを目的とします。

外観イメージ

教育目標

  1. 人間に対する深い理解と倫理観を培い、人々の喜びや悲しみ、痛みや苦しみを分かちあえる豊かな感性と自己の持てる力を差し出せる温かい心を伸ばします。
  2. 人間を取り巻く自然、社会、文化関係を総合的な視野から思考できる能力と、社会情勢の変化や科学技術の発達に主体的・創造的に対応する能力を育みます。
  3. さまざまな健康状態の人々と関わることのできる専門知識・技術を修得して個別な看護ニーズを見いだし、科学的根拠に基づいて対応できる実践的問題解決能力を育みます。
  4. 看護専門職者としての誇りと責任感を持ち、看護の果たすべき役割を追究し、保健・医療・福祉等関連領域の人々と連携できる学際的調整能力を育みます。
  5. 生涯を通して自己研鑽する姿勢と、創造的に取り組む力を身につけ、看護学の発展に寄与するための基礎的能力を育みます。

3ポリシー

アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)

教育理念・目的にもとづき、次のような資質を持った学生を求めています。

  1. 人々の健康と生活に関心を持ち、自らも生活を整える力を身につけようとしている人
  2. 積極的に他者と関わり、相手の言葉に耳を傾け、自分の言葉で自分の思いや考えを表現できる人
  3. 多様な個性やさまざまな考え方を尊重し、まわりに感謝し、みんなで伸びていこうとする人
  4. 社会の動向への関心や未知への好奇心を持ち、新しいことを受け入れて変化できる人
  5. 大学で学ぶために必要な基礎学力を有し、主体的に学び、考える姿勢をもつ人

カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)

すべての人々への健康の学習と実践を願ったナイチンゲール看護論を基盤に、生命の尊さを知り、人々の生命力を高め、心に働きかけ、人々のセルフケア・セルフコントロールを支援できる看護専門職者の育成をめざし、科学的なものの見方・考え方を育て、体験を通して看護学の概念と実践的能力を段階的、統合的に身につけることができるカリキュラムを編成しています。
また、学生の主体的な学修を推進する教育方法をとりいれ、学生のニーズをふまえ到達度が高まる環境を整えます。
さらに、各授業科目の評価規準、基準をシラバスで明示し、厳格で客観的な成績評価を行います。

  1. 人間についての総合的理解を深め、自己の人間性を豊かにする幅広い教養と状況に対応できる判断力を養うため、人間を取り巻く自然、社会、文化的環境について学修する普遍分野を配置する。
  2. 看護の対象である人間の身体・精神・社会関係をより詳しく見つめ、これらの仕組みについて理解を深める専門基礎分野を配置する。
  3. 看護の基盤となる考え方と方法を学び、看護の対象を、地域社会の中のある家族の一員として個別なライフスタイルを送る人間として捉え、看護の専門性を人々の健康を守るネットワークの中に位置づけて理解する。また、学修の節目ごとの実習を通して多様な価値観を尊重し、他者との豊かな人間関係を築く力を養い、看護者としての自らの成長を自己評価し、発展させていく専門分野を配置する。
  4. 普遍分野、専門基礎分野、専門分野の学修を統合させながら、看護の実践能力を高め、生涯にわたり看護学を追究・発展できるように〔看護統合〕を配置する。
    また、国際的視野を身につけるため、異文化理解へ向けた教育を行う。
  5. 物事の本質を追究する姿勢を育み、課題解決に取組む意味や面白さを経験し、将来にわたる研究的態度が身につけられるように、科目間、分野間で連携した教育を行う。
  6. 到達目標に照らして自己評価しながら学修する双方向授業を基本として、学生参加型の少人数グループワークや視聴覚教材・教育メディアを活用した授業を行う。また、専門科目では〈自己学習− グループ学習−個別指導−自己評価〉システムを取り入れ、主体的な学修を推進する。

ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与に関する方針)

 教育理念のもと、教育目標に対応させた以下の能力を身につけ、かつ所定の単位を修得したものに、学士(看護学)の学位を授与します。

  1. 人間に対する理解と倫理観を持ち、人々の喜びや悲しみ、痛みや苦しみを分かちあえる感性を身につけ、自己の持てる力を差し出せる。
  2. 多様な個性やさまざまな考え方を尊重し、他者との人間関係を築くことができる。
  3. 人間を取り巻く自然、社会、文化関係を総合的な視野から思考し、社会情勢の変化や科学技術の発達に関心を持ち、主体的に学ぶ姿勢を身につけている。
  4. さまざまな健康状態の人々と関わることのできる専門知識・技術を修得し、個別な看護ニーズを見いだし、科学的根拠に基づいた実践ができる基礎的能力を身につけている。
  5. 看護専門職者としての誇りと責任感を持ち、看護の果たすべき役割を追究し、保健・医療・福祉等関連領域の人々と協働できる力を身につけている。
  6. 生涯を通して自己研鑽する姿勢と、創造的に取り組む力を持ち、看護学の発展に寄与するための基礎的能力を身につけている。

教育の特色、シラバス

教育の特色

<自己学習-グループ学習-個別指導-自己評価>システムを活用

看護職をめざす学生に大切なことは、他者の力を必要としている人々がうまく生きていけるよう、多くの人々とともに自分自身の持てる力を働かせていく看護実践力を修得することです。
そこで、他者にとっての自己の関わりの意味を自己評価する力を高めつつ、学びを進めていくことが必要となってきます。
本学では、この教育目標を具体的に展開して共有しながら上記システムを活用し、学生の主体的な学修を進めていきます。人間とは、生活するとは、病むとは、看護とは、などの学習を、自分や家族などの日常のありようを具体的に見つめながら日々確かめ、事例学習を通して実際に患者さんたちと関わる臨地実習に備えていきます。臨地実習では、科学的な看護実践方法論に導かれながら、ひとりひとりに人間としての関心を注ぎ、ともに問題をのりこえていく体験をします。これらの過程で、事象に対する科学的な見つめ方と、「自分の行為は、相手にとってどのような意味があったのか」と自己評価する力を身につけ、看護職者として成長し、巣立ちの時を迎えます。
看護職者は、生涯自己評価しつつ成長していく専門職者です。4年間を通して繰り返される、自己の関わりを相手の位置から自己評価する力を高める学修は、専門職者としての基盤を強化することにつながっていきます。

教育課程の概念図

教育課程の概念図

本学のカリキュラムは、生命の尊さを知り、人々の生命力を高め、心に働きかけ、人々のセルフケア・セルフコントロールを手助けできる看護職者の育成をめざし、科学的なものの見方・考え方を育てながら、体験を通して看護学の概念と実践的能力を身につけることができるように、一般教育と専門教育とを体系的に編成しています。

カリキュラムマップ

カリキュラムマップ

シラバス

Active Academy(教務サービス)を使って、各授業科目のシラバスを参照することができます。

下図に示すように、「開講学部学科」の欄で看護学科もしくは別科を選び、「この条件で検索する」ボタンをクリックします。

令和5年度 実務経験を有する教員による科目一覧 (PDF:79KB)

学則

宮崎県立看護大学学則

宮崎県立看護大学学則 (PDF:481KB)

分野紹介

普遍分野

人間についての総合的理解を深め、自己の人間性を豊かにする幅広い教養と、状況に対応できる判断力を養うため、人間を育む自然、社会、文化的環境について学修します。

自然界と看護 – 生命を守る 空気、水、食物など人間を取り巻く自然界と自然が人間に及ぼす影響について学びます。
人間社会と看護 – 生命力を高める 法社会のしくみと制度、情報科学の基礎、スポーツなどについて学びます。
個の尊重と看護 – その人の心に働きかける 人間の心のありようや人間関係の形成の仕方、および他国の言語について学びます。
文化と看護 – セルフケア能力を高める 人間社会の歴史や文化、セルフケアや癒しの方法である音楽や芸術などについて学びます。

専門基礎分野

人間の身体的側面、精神的側面、社会的側面を理解し、さらに、これらを統合し全人的な観点から病気を見つめ、看護実践の基礎となる知識や考え方を学修します。

看護人間学 I-身体のしくみや病気 人間の身体の構造や機能、病気の状態および回復過程について学びます。
看護人間学 II-心のしくみや病気 人間の精神の発達特性、精神の病気、人間形成に影響する要因について学びます。
看護人間学III-社会的なしくみ 地域社会の健康についてアセスメントする方法、保健・医療・福祉のしくみについて学びます。
看護人間学総論 全人的視点から看護することにつながる病気のとらえ方について学びます。

専門分野

基礎看護学では看護理論と基本技術について学修します。精神看護学では、生活者の社会的自立にむけた精神の整え方の理論と方法を学修します。公衆衛生看護学では、地域で暮らす人々の健康生活を支える看護を学修します。在宅看護学では、地域で療養する人々への看護を学修します。母性看護学、小児看護学、成人看護学、老年看護学では、生活者のライフサイクルに対応して、それぞれの対象特性に応じた理論と方法を学修します。また、この8領域では、それぞれに看護学実習を行います。看護統合では、主体的な将来設計に繋がるようなキャリアデザインや体験を統合して評価・発展させるための科目、専門性の高い科目を学びます。

基礎看護学 看護の基盤となる看護理論と基本技術について学びます。
精神看護学 生活者の社会的自立にむけた認識の整え方の理論と方法を学びます。
公衆衛生看護学 個人・家族・集団・地域の健康の保持増進と疾病の予防、生活の質の向上を目指すための理論と方法を学びます。
在宅看護学 在宅で療養する方や生活のしづらさを抱える方、その家族への看護を学びます。
母性看護学 次世代が健康に生まれ育つための看護について学びます。
小児看護学 子どもが健やかに育まれるための看護について学びます。
成人看護学 成人期の対象の特性と看護について学びます。
老年看護学 老年期の健康課題を理解し、対象の特性に応じた看護実践について学習します。
看護統合 主体的な将来設計に繋がるようなキャリアデザインや体験を統合して評価・発展させるための科目、専門性の高い科目を学びます。