韓国研修プログラム

4年ぶりに再開した「看護大生のための短期海外研修プログラム」の1つである韓国研修プログラムが、2023年8月30日より8日間の日程で催行され、学生10名(1年生2名、3年生2名、4年生6名)、教員1名が参加しました。交流大学である朝鮮看護大学(光州)とは、コロナ禍においてもオンライン交流を毎年続けてきましたが、ようやく対面での交流ができました。

参加学生たちは、研修前学習として、研修中の安全・健康管理のための講義を聴いたり、大学・宮崎を紹介するプレゼンテーションや交流する方々への質問などの準備を行ったりしました。また、「学生企画の日」の準備として、グループ別に学びのテーマを設定し、計画を立てました。

現地での研修日程

8月30日(1日目)

福岡空港集合-仁川空港
空港鉄道でソウル駅に到着後、KTX(新幹線)で光州市へ
ゲストハウスに到着(22時)後、翌日のプレゼンテーションに向け、リハーサルと練習


8月31日(2日目)

AM 光州市の歴史について学ぶ、国立アジア文化殿堂見学
PM 朝鮮看護大学施設見学及び交流会・グループ交流
夜 大学外でのグループ別学生交流


9月1日(3日目)

AM 朝鮮大学病院見学
PM 朝鮮看護大学学生企画グループ別学習「光州の歴史・文化に触れる」
夕食後、学生交流(24時まで)


9月2日(4日目)

KTXで光州からソウル市へ 「首都と地方都市の生活環境を比較する」


9月3日(5日目)

ソウルで学生企画研修(グループ別テーマ学習)


9月4日(6日目)

ソウルで学生企画研修(グループ別テーマ学習)


9月5日(7日目)

「南北朝鮮の歴史を理解する」DMZ・第3トンネルツアーに参加


9月6日(8日目)

仁川空港-福岡空港 解散

1 光州・朝鮮看護大学での研修活動

朝鮮看護大学では、看護技術演習、助産演習、コロナ禍で積極的に活用された訪問看護演習でのVRシステムを体験しました。

VRを活用した訪問看護演習
VRを活用した訪問看護演習
助産シミュレーション演習
助産シミュレーション演習
基礎看護技術シミュレーション演習
基礎看護技術シミュレーション演習

学生交流では、4つのグループに分かれ、それぞれの大学紹介プレゼンテーション、グループディスカッションを行いました。また、朝鮮看護大学の学生さん達が考えた「韓国の文化を学ぶ」プランをもとに、グループ別研修を行いました。韓国語、英語、日本語をまぜながら、それぞれ積極的にコミュニケーションをとっており、伝え合うことの喜び、文化の違いや共通点などを感じていました。また、韓国の学生さん達が、この日のために一生懸命準備していてくれたことが本学学生に伝わり、感激した様子でした。

学生の記録より

  • 生まれ育った環境は違うけど、同じ1人の女性、看護学生として共感できる部分がたくさんあり、完璧に言語が通じ合えなくても互いに学び合いながら交流できた。Onlineではなく直接会って話すことの楽しさ、面白さ、大切さを学んだ。
  • 韓国の学生に、韓国の歴史や政治(韓国の大統領についてどう思っているか)を教えてもらった。日本の学生より、自分の国に関心がある人が多いのかなと思った。
大学紹介プレゼンテーション
大学紹介プレゼンテーション
グループ交流の様子
グループ交流の様子

実習病院である朝鮮大学病院の見学では、救急(ER)、集中治療室(ICU)、一般外科を見学し、AIを搭載したMRI、新型コロナウイルス病棟の一部(展示・見学スペース)、健康増進センター(健診、人間ドッグなどができる)などを見せていただきました。学生達は、見学しながら日本の病院環境との違いに驚いたりしていました。

大学病院見学の様子

2 ソウルでの研修活動

南北朝鮮の歴史と現在を理解するため、南北軍事分界線から南北それぞれ2kmの非武装地帯(DMZ)と、第3トンネル(北朝鮮が韓国を侵攻する目的で作ったトンネルのひとつ)の見学ツアーに参加しました。

また、2日間は「学生企画研修」とし、事前にグループ別に立てた「観察・学びのテーマ」に沿った計画に基づいて活動しました(テーマ例:歴史に触れる/若者が行き交う場所の雰囲気を知る/現地の人とのコミュニケーションを図る/韓国の街並みや交通事情について観察する/施設や市場に行き、韓国の文化を体験して日本との違いや歴史を学ぶ/食文化を知る)。それぞれの活動を通して、様々な視点からの気づきが生まれていました。

学生の記録より

  • コルギ(骨気)体験をした。人体の構造をとてもよく理解してるなと思った。リンパの流れやツボ、骨などの形状に合わせて行っていた。思っていたよりも痛くなくて、とてもすっきりした。日本にはない体験だったためとてもよい経験になった。
  • 救急車が来ても、他の車はゆずらない。日本では、ゆずらない車が少ない、ほぼいないため驚いた。救急車に対する認識、意識が日本と大きく異なると思った。
  • 韓国のコンビニには、日本ほどジュースの種類がなかった。韓国はカフェが多く、コーヒーを飲む人が多いからなのかなと思った。ジュースは少なく、水の数が多かった。
  • 江南の太い通りのひとつ横の通りを歩いていると、たばこを吸っている人が沢山いた。少し歩けば違う集団が道の端から端までいた。日本では(宮崎では)そのような光景をあまり見たことがないので驚いた。たばこが一般的な嗜好品で、綺麗なパッケージも日本と似ているが、たばこが縦の繋がりを保つ場であることが、韓国の特徴だと思った。
  • 明洞屋台でおでんを食べたらとてもからかった。見た目は日本と変わらないので驚いた。反対に韓国の人が日本のおでんを食べても驚くのかなと思った。
  • 韓国の町を歩いていると、宮崎よりマスクを着けている人がはるかに少なかった。日本にいると、海外ではもうマスクを外している人が多いというニュースを見て、驚いたけど、韓国に来ると、抵抗感なくマスクを外せるので、周囲の環境は価値観に大きな影響を与えるのだなと思いました。
  • 電車内で、付せんを貼ってまわっている人を見た。内容を翻訳してみると、”家賃をふりこんでほしい”というような内容だった。観光客だけ、不思議そうにみていた。韓国ではよくあることなのかな?と思った。韓国での生活保護について気になった。
  • 日本では授乳室は女性専用であることが多いが、韓国での授乳室には、「男女共用」と書いてあった。『韓国・旦那・育児』と調べても、特別な記事はあまり出てこず、実際はどうなのか、気になった。韓国の男女間の文化が、日本と少し違うことや、育児を支える環境に男性がいることが普通であることは繋がりがあると思えた。

なんとか無事に終えた4年ぶりの韓国研修は、直行便の廃止、円安、燃油高騰などの影響で、学生にとっては参加費用が上がってしまい、負担軽減のためいくつかの活動を断念しました。韓国-宮崎の直行便が再開し、円安状況が改善すれば、今回断念した内容を少しずつ戻していきたいと思います。